![]() | 孔雀王 曲神紀 12 (ヤングジャンプコミックス) (2010/03/19) 荻野 真 商品詳細を見る |
未完で終わった「孔雀王 退魔聖伝」
その続編として10数年ぶりに復活した「孔雀王 七曲紀」
復活した当初はそれはそれは「奇跡の復活、あの続きが読めるのか!」と喜んだものです。
しかし、まさかまた打ち切りになるとは……。
しかも、あと1巻分で完結になるというところで。
本当の戦いはこれからだ!というところで。
作者曰く「出版業界の不況」のせいらしいですが。
……まぁ、人気が無かったからだよね。
人気があったら、週刊少年ヤングジャンプから月刊少年ジャンプに島流しになったりしなかっただろうし、そもそも打ち切りの候補にあがらない。
正直、本筋から外れまくってたバンド編とか酷かったし、人気のあるキャラクターを放置しっぱなしにしてたし、そりゃあ人気が陰るのも無理はないかと。
和田アキ子が出たときは笑ったけどさ。
あと10年待つので、次は完結させてください。
作者の荻野真先生の本当の戦いはこれからだ!
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![]() | がんばれ!パンダ内閣 1 (プレイボーイコミックス) (2005/03/18) つの丸 商品詳細を見る |
毒のないタイプのつの丸作品。
客寄せパンダという言葉があります。
「店やイベントなどにおいて関心を引いて客を集める為の人物など。 動物園でパンダが大きな集客効果を持つことから転じた」
という意味ですが、そのパンダ役を本当のパンダにやらせてみよう。
という、洒落を効かせたところがコンセプトとなっています。
動物が当たり前のように人間と会話する「つの丸ワールド」だからこそできた作品です。
そして、パンダが首相となったパンダ内閣が(首相が客寄せパンダ)、外交をこなしたり、狂牛病に立ち向かったり、裏金に巻き込まれたりするおはなしです。
当時の背景としては「小泉純一郎」人気に頼った自民党の選挙態勢もあって、パンダ内閣という作品自体がひとつの風刺となっています。
しかし、そこ以外は、あまり風刺が効いておらず、政治ネタも少なめ。どちらかというとパンダの可愛さを売りにした「癒し系アニマル漫画」となっています。それはそれで良いのかもしれませんが、連載していた雑誌が「プレイボーイ」。雑誌のカラー的には、政治ネタを主にいれた「毒のつの丸」のほうが合っていた気が。
アイデア自体は非常に良かったのですが、イマイチ面白みにかける作品。
今なら、「首相の客寄せパンダぶり」「絵柄の可愛らしさ」を売りにするために首相役を萌えキャラにしてリメイクすればそこそこヒットするんじゃないかな……と思ってみたり。
PS 巻末書きおろしには、とあるつの丸キャラクターが出演しているので、つの丸ファンは必見です。
![]() | 天職貴族モン次郎 1 (ジャンプコミックスデラックス) (2005/05/02) つの丸 商品詳細を見る |
毒のあるタイプのつの丸作品。
「おさるが主人公」ということからもお分かりの通り、つの丸ギャグの代表作「モンモンモン」のカラーを受け継いだ作品です。
連載当時は、あのモンモンモンが形を変えて帰ってきた!と大喜びしたものです。
天職貴族モン次郎(おさる)が、様々な職に転職し、めちゃくちゃにかき回しながら、自分にあった天職を探す、シュールなギャグ漫画。
第一部は、毎回違う職業を舞台とした「転職」編。
第二部は、ビジネスマンとして出世を遂げる「天職」編となっています。(勝手に命名)
シュール、下ネタ、ブラックなどなんでもありなネタの一方で、周りが勝手に勘違いして主人公に惚れ込んでいくストーリーも、まさに「モンモンモン」の続編。しかし、驚くほど当時と絵柄が変わっていない。なんと完成された漫画家なんだつの丸は……。
「モンモンモン」ほどの衝撃はないかもしれませんが、これぞ「つの丸ギャグ」と言える作品なのは間違いありません。オススメ。
![]() | きららの仕事 1 ―ワールドバトル― (ジャンプコミックスデラックス) (2008/05/02) 早川 光、橋本 孤蔵 他 商品詳細を見る |
前作のスシバトル21で、鮨職人日本一となった坂巻と、ヒロインきららが世界に挑む……ということで、タイトルも新たに「ワールドバトル編」となって新章開始!
と言っても、やってることは前作と変わりありません。鮨勝負の繰り返しです。むしろサブタイトルに「バトル」が入った分、露骨になっています。
それはさておき、ストーリーは……というと、
前作の「スシバトル21」がスケールアップして、世界規模の国別対抗戦に発展。第1回のワールドスシバトルが開催されます。しかし、そこで待っていたのは、日本チームの惨敗。スシの本場たる日本はプライドをズタズタにされます。
しかし、日本にはまだ希望がありました。というのも、日本チームにはスシバトル21の優勝者・坂巻と準優勝者・きららの二人が不参加だったのです。
「彼らの力をもってすれば、雪辱を晴らせる」と誰しもが思った、そんな中、第2回ワールドスシバトルの日本チーム代表を決める選考会が開催されることになり……。
そんな話です。
非常に上手い導入部で、今後が気になる出だしです。しかし、やることは前作とまったく同じという。
ひたすら鮨勝負の繰り返しだという。
しかも、かなり先が読めてしまう展開なのがつらいところ。
日本代表チームに選ばれる人数が3人という時点で、坂巻ときららが選ばれるのは間違いない。なので、最初から予選は消化試合みたいなものになってしまいました。
となると、後は、盛り上がる試合展開になるかですが、
アイデアの盛り込まれた新作スシ、握りの必殺技、個性的なライバル、白熱する審査……どれもこれも前作の焼き増しに過ぎません。
早い話がマンネリです。
まぁマンネリしてても、勢いや面白さは相変わらずなのがせめてもの救い。坂巻がヒロインきららを差し置いて、美味しいところを全部かっさらっていくのも相変わらずです。
![]() | きららの仕事 16 (ジャンプコミックスデラックス) (2007/10/04) 早川 光、橋本 孤蔵 他 商品詳細を見る |
ネタバレ満載のレビューなので未読の方はご注意を。
ここまで主人公の立場がライバルに喰われる漫画も珍しい。
主人公が「海堂きらら」なのは間違いないのですが、そのライバルの「坂巻慶太」の方が、存在感もスター性も人気も見所もある……という不思議な漫画です。
一応、ストーリー的には、少女にして江戸前鮨職人のきららが、旨い鮨を作って感動させたり、鮨勝負に挑んだり……という内容なのですが、明らかにライバルの坂巻の方が主役扱いです。
坂巻は、最初は単に地上げ屋まがいのゴロツキ回転寿司チェーンの社長だったのですが、きららに敗北を喫することで、かつての鮨職人だった頃の情熱を思い出し、再び鮨職人として歩む道を選びます。
そして、始まった鮨職人が互いの腕を競い合う鮨職人トーナメント大会こと「スシバトル21」
坂巻も、きららもこのスシバトルに参加するのですが、そこに登場するのが、天才鮨職人の神原朱雀。スシバトルは、この三人の三つ巴の戦いになります。
普通の漫画なら、
主人公のきららと、坂巻もしくは神原が準決勝で戦い、
きららが勝ち進み、
決勝戦で残りの一人と戦う……というのが普通です。
しかし、実際は、
坂巻と神原が準決勝で戦い、
坂巻が勝ち進み、
決勝戦できららと戦う……という内容です。まさかの主人公にシード権。
その上、坂巻がきららを打ち破って優勝。初対決の雪辱を晴らすという結末です。
どう考えたって、坂巻が主役扱いです。
ついでに言うなら、シャワーシーン。普通の漫画なら、ヒロインのきららが披露するはずなのですが、この漫画では、常に坂巻が披露。肉体美を見せてくれます。しかも、何度も。お色気担当までこなす幅の広い主役です。
ここまで来ると、タイトルなど飾りに過ぎません。
「慶太の仕事」もしくは「慶太の身体」が正解です。
作者側も狙ってやっていることは明らかなので、読者もそのつもりで読んでいきましょう。
![]() | ONE OUTS 1 (ヤングジャンプコミックス) (1999/06/18) 甲斐谷 忍 商品詳細を見る |
アニメにもなった甲斐谷忍の野球漫画。
主人公が悪役の場合、その主人公に対して読者から反感を買うのが一番作品としては辛いところです。
では、どうやってその反感を妨げるのか?
簡単です。
主人公以上の悪役を敵として登場させれば良いだけです。
そうすれば、主人公に流れるはずの敵意はそのまま敵役のほうに流れていくのです。
この「ONE OUTS」という野球漫画は、まさにそのパターンです。
序盤のストーリーを紹介します。
主人公「渡久地東亜」はペテンやハッタリの技術に特化した頭脳・判断力などのギャンブルテクニックを持ち合わせた悪役ピッチャーでした。初っ端から、真面目な野球選手だがチームに恵まれていなかったために優勝経験の無いバッター・児島を、そのギャンブルの罠にかけて金を巻き上げます。しかし、東亜は、その後に起きた偶然をきっかけに、敗北を一方的に認め、「児島のチームを優勝させる」ことを約束します。
ここでは、主人公・東亜は、完全に悪役です。
しかし、この後、、この東亜に対して更なる敵役が次々登場するのです。
それは、敵チーム選手だったり、自分のチームメイトだったり、果てには自分のチームのオーナーだったり…。
これらの悪役(悪ではないライバルキャラもいますが)を上手く活用し、悪役であるはずの主人公が、逆に好感を得るように仕組んでいます。このあたりの書き方が作者の甲斐谷忍は上手いんです。
まぁ、元から敵キャラは、「ナベツネ」あたりをモデルにされていますし。
また、「野球を使ったギャンブル」というアイデアも面白いです。
しかも、一選手VSオーナーという形式。
プロ野球のルールの隅をつついたアイデアや、野球というスポーツに心理トリックを用いるアイデアなどが盛り込まれ、過去に数多存在している野球漫画とはまったく違う斬新な野球漫画に仕立て上げられています。
まぁ、最後は、ちょっとネタ切れなのか、精神論とか入ってきちゃってますけれどね。
おまけ。
この漫画の元ネタ一部。
マリナーズ → ロッテマリーンズ
ブルーマーズ → ブルーウェーブ
イーグルス → ホークス
フィンガース → ファイターズ
バガブース → バッファローズ
リカオンズ → ライオンズ
作者のマリーンズびいきのために、作中ではマリナーズが最強チームになってます。
イーグルスはゴールデンイーグルスがモデルではありません。当たり前ですが。
あと、この作品中のパリーグってパシフィックリーグではなくて、パラダイスリーグなんですよね。そこまで気を回さなくても…。
![]() | LEGEND OF THE ATHLETE荒川静香物語本橋麻 (ジャンプコミックス) (2007/03/02) 工藤 晋 商品詳細を見る |
かつて月刊少年ジャンプで掲載された「荒川静香物語」「本橋麻里物語」「上村愛子物語」の3本を収録したコミックスです。
僕は、月刊少年ジャンプ掲載時に「荒川静香物語」しか読んでいないので、そのレビューとさせていただきます。
「荒川静香物語」
少女時代の荒川静香を中心に、金メダリスト荒川がどのような成長を遂げていったのかを書き記した、伝記漫画。
特筆すべきは、これがトリノオリンピック前に掲載されていたこと。
今でこそ、トリノオリンピックの金メダルで脚光を浴びた荒川選手ですが、あえて、オリンピック前に荒川静香に注目を置いたのは流石ジャンプ編集部です。先見の明がありすぎです。
漫画としては、萌えキャラ化された静香ちゃんだけに目が行きがちですが、内容も必見です。
少女時代のしずかちゃんは、初めてのリンクにたった瞬間から、滑り方を習得。
父親が「この子は天才だ…」と感動するところから、
しずかちゃんがフィギュアスケートの選手がつけている衣装のスカートに異常に執着を示し、「あのひらひらが着たい」という理由でフィギュアを始めるという仰天エピソードを踏まえて、
2005年の選考会までを描いた作品。
もちろん、トリノオリンピック前に書かれ、刊行された作品なので、最後は、
「いざトリノへ……」
で締めくくられています。
ただ、荒川静香物語のくせに、ガセネタだらけで驚きを隠せません。
圧倒的取材不足。
イナバウアーを上体をそらせる技だと勘違いしてたり、
(足の形がイナバウアーと呼ぶ技)
去年の最終選考会でトリプルアクセルを飛んじゃったり、
(当時の日本の現役選手でトリプルアクセルが出来たのは、中野 と浅田 の2人だけ)
今読むと、非常に恥ずかしい漫画です。
良かったのは着目点だけ。
ジャンプで読んだときは、コミックス化は無理かな……と思っていましたが、こうして単行本化されているので、きっと単行本では修正されているはずです。頼むよ……。
![]() | 犬マユゲでいこう (Vジャンプコミックス) (1997/04) 石塚 祐子 商品詳細を見る |
Vジャンプに連載中の石塚祐子先生のエッセイ漫画・「犬マユゲでいこう」のコミックス!
Vジャンプというゲーム中心の雑誌だけにゲーム関係のエピソードがメイン。
エンターブレインが柴田亜美なら、集英社は石塚祐子でしょう。それくらい面白いゲームエッセイが目白押しです。
この漫画を書くまでの石塚先生というと、集英社の攻略本のイラストの仕事が多かったもので、そのイメージしか無かったのですが、ゲームエッセイを書いたら意外と上手い。
センスある。脱帽…という面白さ。
見所はやはり、石塚先生の自由奔放さに限るでしょう。
話題作や人気の作品を扱うのかと思えば、語るのは、自分の好きなゲームについて。
PS時代真っ只中でも、普通にウィザードリィの話を持ってきたり。
人から薦められたゲームをやる際は、普通に毒を吐く。
ゲームメインだから、ゲームの話ばかりかと思えば、映画の話題になったり、食べ歩きになったり、正にやりたい放題。
キャラクターも実際の編集から、空想の生物まで入り混じってはちゃめちゃ。
でも、それが面白いところですよ。
2巻発売後、まったく続刊が発売されなかったので、邪険に扱われているかと思いましたが、7年を隔てて3巻が発売されました。よかったー。
![]() | 孔雀王 曲神紀 12 (ヤングジャンプコミックス) (2010/03/19) 荻野 真 商品詳細を見る |
未完で終わった「孔雀王 退魔聖伝」
その続編として10数年ぶりに復活した「孔雀王 曲神紀」
復活した当初はそれはそれは「奇跡の復活、あの続きが読めるのか!」と喜んだものです。
しかし、まさかまた打ち切りになるとは……。
しかも、あと1巻分で完結になるというところで。
本当の戦いはこれからだ!というところで。
作者曰く「出版業界の不況」のせいらしいですが。
……まぁ、人気が無かったからだよね。
人気があったら、週刊ヤングジャンプから月刊ヤングジャンプに島流しになったりしなかっただろうし、そもそも打ち切りの候補にあがらない。
正直、本筋から外れまくってたバンド編とか酷かったし、人気のあるキャラクターを放置しっぱなしにしてたし、そりゃあ人気が陰るのも無理はないかと。
和田アキ子が出たときは笑ったけどさ。
あと10年待つので、次は完結させてください。
作者の荻野真先生の本当の戦いはこれからだ!
![]() | 新ジャングルの王者ターちゃん 7 (集英社文庫―コミック版) (集英社文庫 と 20-18) (2010/05/18) 徳弘 正也 商品詳細を見る |
「ジャングルの王者ターちゃん」といえば、「下ネタギャグ」と「ジャンプお決まりのバトル路線」……みたいなイメージが強いけれど、それだけじゃあない。
バトル路線でのストーリーが秀逸。
少年誌とは思えないような重たい話も本当に多い。
特に、この巻に収録されている「世界格闘王決定トーナメント決勝戦」のあたりは顕著。
基本は、主人公のターちゃんが自分のクローンたるアイアンマスクと戦う……というバトル路線なんだけれど、そのアイアンマスクのストーリーが重たすぎる。
ただでさえ、ターちゃんのクローンという実験材料で、不遇の誕生であるにもかかわらず、
恋焦がれた女性への純粋な思いを、組織に踏みにじられるわ、
勝利寸前で霊という非科学的なものによって逆転敗北するわ、
ターちゃんに敗れたあとはCIAの研究室に送られるわ……。
一切救いがなく、いたたまれない扱い。
初恋の相手に振り向いてもらおうと、純粋に努力していたアイアンマスクに、
「願いをかなえてやったぞ」と、組織が彼女の脳を改造し順応なロボットにしてに差し出す……という展開は、かなりダークな話。
こんなダークなストーリーをあっさりと週刊少年ジャンプに掲載できる徳弘正也は、やはりセンスが違う。
しかも、この当時は、ターちゃんはTVアニメ化されて、絶賛放送中だったというのに。こんなのアニメで放送できないだろ……。
もっとも、この漫画自体アニメで放送できたことが不思議だけれど。
また、殺されたキャラの首をびっくり箱にして楽しむとか、殺されたキャラをスーファミの電源アダプターにして扱うとか、ブラックなギャグも豊富。
今の少年ジャンプのカラーには全く合わないけれど、こういう「ダークストーリー」「ブラックギャグ」が連載できていた当時のジャンプは、まさに黄金期だったんだなぁとつくづく思う。