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ゲームや漫画やゲームサントラのレビューのようなものの寄せ集めブログです。
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赤い部屋の殺意―理央の科学捜査ファイル〈2〉 (富士見ミステリー文庫)赤い部屋の殺意―理央の科学捜査ファイル〈2〉 (富士見ミステリー文庫)
(2001/05)
夏 緑

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一時期エニックスで推理コミックの原作をやっていた夏緑先生による推理小説。
富士見ミステリー文庫という文庫シリーズで発売されています。


正直、富士見ミステリー文庫という存在すら知りませんでした。
で、調べてみたところ、ミステリー文庫といいながら、全然ミステリーと関係ない小説ばかりの文庫だということが判明しました。挙句の果てに「真・女神転生3ノクターン アンソロジー」なんかも富士見ミステリー文庫として販売されてます。
詐欺だろ!?

そんな富士見ミステリー文庫の中で、ちゃんとしたミステリーをやっているのがこの夏緑先生
ちゃんとミステリ小説をやってるのに、なぜか浮いてる存在になっていたり…


さて、富士見ミステリー文庫の話はさておき、

この作品シリーズは、中学2年生の檜山理央という少女が主人公。桐生冬樹という医大生とともに事件を解決していく(というか、桐生さんがメインで解決してくのですが…)そんなミステリ小説です。

作者の夏緑さんは大学の理学部を卒業したこともあって、理系トリックの猛者。過去にさまざまな科学を使ったトリックを駆使した小説を書いており、今回も科学の髄を尽くしたトリックが登場します。科学ネタは、ちょっと難しめの話になるのがたまに傷ですが。
タイトルからして「科学捜査ファイル」なので、当たり前といえば当たり前です。

その一方で、夏緑作品に出てくるキャラクターたちはちょっと現実にはいなさそうな美男美女たち。端的に言ってしまうと二次元っぽいキャラクターです。
(単に文庫の表紙・挿絵に使われるイラストレーターのイラストの特徴と言えなくもないですが)

このリアリティある科学と、バーチャルなキャラクターとの二つを混ぜあわせるのが夏先生の得意技で、今回もそれはバッチリ組み合わされてます。

特に桐生さんの美形ぶりは容赦ありません
主人公の理央の視点から物語が描かれていることもあって、美形描写が随所に見られます。


ぱっと見て、ちょっとオタッキーな本に見えますが、中身は普通にミステリしてますので、安心してご覧ください。
なお、このシリーズは全3巻が発売されていて、この作品は2冊目にあたります。



※ストーリー等にまったく触れていませんが、ネタバレに配慮したということで…。



しかし、夏先生のミステリは何でいつもこんなマイナーな文庫でしか発売されないんだろ…

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平成トム・ソーヤー (集英社文庫)平成トム・ソーヤー (集英社文庫)
(1998/02/20)
原田 宗典

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エッセイストとしても有名な原田宗典による冒険小説。


冒険小説と言っても、舞台は東京。しかも、1990年代初頭。
舞台は限りなくノンフィクションに近い設定になっています。
固有名詞が多く登場するのも、現実的な舞台設定を印象付けるためでしょう。
そんなリアルで限られた世界の中で、トム・ソーヤーさながらの冒険をするのは高校生3人。
天才的なスリの名手にして主人公・ノムラノブオ。
軍師・スウガク。
ムードメーカーの女の子・キクチ。
とある計画のために、3人は手を組み、動き出します。
とはいえ、主人公だけが特殊な能力の持ち主で、他のキャラは個性的な思考の持ち主ではありますが、一般人。

一般人だけが存在する世界に、たった1人だけ特殊な能力を持つ主人公。
(もう1人、同じ能力を持った老婆も出てきますが、これは置いておいて。)
彼が、その能力をいかに使い、立ちはだかる壁や、困難な状況を打破していくのか…。
これを楽しむことが物語の肝と言えるでしょう。

また、主人公のように特殊な能力を持っていない他のメンバーは、あくまで主人公を動かすための歯車でしかありません。
端的に言うならば。
でも、その歯車こそが物語の華なのです。
何しろ、主人公の能力はスリの能力だけです。
いくらスリの能力があるとしても、それだけでは、出来ることも限られています。
スリの能力を除いてしまえば、体力・学力・発想力など全てが平凡な、何の取り柄も無い高校生なのですから。
能力に無限の可能性を広げさせることが出来るのは、仲間の力があってこそ。
彼らが主人公の冒険を盛り上げるのです。

結論を申しますと、この物語はどれだけ主人公に感情移入できるかによって面白さが変わってくると思います。
平凡な高校生活を送った人ほど、感情移入できるのではないでしょうか?
いかに主人公が仲間の力を借りて冒険していくのかをお楽しみください。


では、感情移入できない人はどうしたらいいのでしょう。
実は、この小説、「戦線スパイクヒルズ」(画:井田ヒロト ヤングガンガン連載)として漫画化されています。
僕は、この漫画のほうから導入し、続きが気になり原作の小説を手に取った経緯です。
キャラクターのイメージが、漫画で植えつけられて、物語が楽しめるようになりますので、漫画を2巻くらいまで読んで、それから小説に入るのがベストかと。
金田一少年の事件簿 幽霊客船殺人事件    講談社ノベルス金田一少年の事件簿 幽霊客船殺人事件 講談社ノベルス
(2004/10)
天樹 征丸

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ノベルズ版金田一少年の事件簿第2弾。
前作がオペラ座館という原作譲りの舞台でしたが、今作は太平洋上が舞台


孤立した豪華(?)客船という閉ざされた空間の中で、次々と起こる殺人事件。
犯人・幽霊船長(ゴースト・キャプテン)は一体誰なのか!?
同じ客船上での殺人事件「ミシシッピ殺人事件」とは、かなり違った作品です

さて、この作品は、本格的なミステリノベルとして楽しめます。
前作のように、「映画の原作」や「漫画の金田一少年との繋がりを見せることに力を入れる」といった呪縛に縛られることもありません。
漫画版と同じ雰囲気で小説を楽しめます。
トリックもどちらかというと漫画向きですし。
漫画版がお好きな方にも、オススメできます

今思えば、これも、叙述トリックが使われてますね。
読んでいたときは「叙述」という単語を知らなかったので気づきませんでしたが、なるほど、小説ならではのトリックがしっかりと使われてます。
そういうこともあって、ノベルズ版金田一では、電脳山荘の次に好きな作品
でも、この作品で、さわやかな二枚目キャラとして登場する二等航海士を、実写ドラマ版で「石原良純」が演じていたのが許せません。悪夢だ。
金田一少年の事件簿  電脳山荘殺人事件 (講談社ノベルス)金田一少年の事件簿 電脳山荘殺人事件 (講談社ノベルス)
(2004/08/06)
天樹 征丸

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吹雪の山荘に閉じ込められた8人。
その中で次々と殺人が起こっていき……。
連続殺人犯「トロイの木馬」の正体とは!? そして目的とは!?


漫画を含めた金田一少年の事件簿作品で一番好きな作品
ストーリーも好きだったし、トリックも好き。
一番好きだったのが、漫画ではなく小説というのも変な話ですが。
金田一少年(を始めとする推理物)は、漫画から入ったクチなので、小説ならではのトリックに、あっさり騙されました。

金田一少年の小説の利点というのは、色々ありますが、一番の利点といえば、発売された時点で事件が完結しているということ
雑誌連載の場合は、連載を毎週読んで、ちょっとずつ事件が起こり、それと同時にちょっとずつ推理することになります。だから、連載誌を全部読んでおかないとならないし、読み返すならば、過去のバックナンバーも揃えておかねばなりません。
また、解答までの期間が長いので、やきもきすることもしばしば。
一方で、この小説版というのは、1冊で完結、1度に事件のプロローグからエピローグまで全て掲載…ということで、推理のために読み返すのも簡単。降参してとっとと解決編に進むのも自由自分のペースで推理し、読めます

ちょっと漫画よりも価格が高いですが、読むのに時間がかかる(=長く楽しめる)ので、プラマイゼロです。
この作品になら、キバヤシに印税払ってもいい…と思いました

難癖つけるなら、僕は「Xは悪くないけれど、○○って言葉は普通に知っていた」ので、金田一くんの言い分にはピンと来なかったこと…かな。
言ってることが知りたかったら買って読んでください。


余談ですが、この事件がアニメ化されたときは、小説ならではのトリックを映像化するのに苦労していたみたいです
タイム・リープ―あしたはきのう (上) (電撃文庫 (0146))タイム・リープ―あしたはきのう (上) (電撃文庫 (0146))
(1999/05)
高畑 京一郎

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ある日突然意識だけが時間をジャンプする不思議な能力に目覚めた主人公。
どういうタイミングで時間がジャンプするのか、次はどの時間に意識が飛ぶのか、どの時間に何故その能力に目覚めたのか………果たしてその意味は?


レビューをしておいて言うのもなんですが、なんの前知識も仕入れないで読むのが一番良いかと思います
心から楽しみたいのであれば、レビューを読まずに今すぐ本屋に買いに出かけましょう。
多少の面白みが減っても、面白さの理由を知りたい方だけ続きをどうぞ。




さて、この作品の魅力というのはなんと言っても伏線。
ドラえもんにしろ、バックトゥザフューチャーにしろ、アズカバンの囚人にしろ、タイムワープ物は、視聴者が同じ時間を2回経験することで、「あぁ、さっきの時間に起きたことは○○という意味だったのか」と気づくことが出来ます。
この作品では、この伏線の張り方が絶妙。
最初から、「あぁ、これが伏線なんだろうな」というバレバレのものもあれば、後から「あぁ、これが伏線だったのか」という気づきにくい伏線まで。
1つ1つ伏線が回収されるたびにスッキリとした気分になれます
しかも、タイムワープ物でありながら、同じ時間を2度繰り返しません
このあたりがタイムワープものでありながら斬新ではないかと。
アンドロメディア (幻冬舎文庫)アンドロメディア (幻冬舎文庫)
(1998/06)
渡辺 浩弐

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渡辺浩弐の初の長編小説。
「SPEED」が主演した映画の原作となったことでも有名
というか、映画のほうばかりが知られていて、原作本のほうは、実のところ無名です


テーマは、自我を持った人工知能。
人工知能AIが、どのように生まれ、成長し、自我を持ち、そして、狂っていくのかを描いてます。
自我を持つ人工知能というアイデアはSFにおいて、なんら珍しくありません。
しかし、現代のネットワーク社会を反映したアレンジがなされており、作品の独自性を出しています。また、人工知能が自我を持つようになる過程を論理的に描いているので、フィクションでありながらリアリティのある作品になっています。

映画のほうを観たことはないのですが、どう考えてもSPEED主演の映画にはなりようがないと思うのです…
なんというか、メインで活躍する女性キャラが1人しかいないですし
(SPEED4人のうち、1人がヒロイン、後が脇役という配役だったのなら納得ですけれど)

ともあれ、映画うんぬんはさておき、よく練られている小説です。
ただ、後半はありきたりな話になってしまうんですけれども

オチもいかにも渡辺浩弐らしいオチ。
でも、彼の今までの短編小説を読んできた人には物足りないかもしれません
かんたんに幸せになりたい (幻冬舎文庫)かんたんに幸せになりたい (幻冬舎文庫)
(2000/02)
犬丸 りん

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おじゃる丸の原案者で、4年前に自殺で亡くなった犬丸りんさんの著書。


おじゃる丸のテイストの原点ともいえる、まったりとしたイラストエッセイになってます。

どうすれば幸せを得ることができるかについて、独特の視点から論じています。
一種の開運本です。

例えば、
「不幸になりやすい人は、幸せになりやすい人でもある
 だから、不幸続きを感じても動じることは無い。いずれ幸せはやってくる。
 逆に幸せになりやすい人は、不幸になりやすい。
 いずれは不幸がやってくるので、気をつけねばならない」
「曇りの日を見て雨が降らなくてラッキーと思える人は幸せ。
 もうすぐ雨になるんだろうなぁ…と思う人は不幸。
 幸福は軽薄な者に訪れる」
という格言集に始まり、

「Q 彼女の気が強いんです。どうすれば?」
「A その分あなたが気弱でいられる」

「Q 離婚したいのですが子供の将来が不安です」
「A 親が無い方が子供は良く育つ」
などなど。
ためになるQ&A満載です。
………無責任な発言も多いですが。
捉え方次第でしょう。



そんな開運アドバイスの中に、
「人生において最大の不幸は死ぬことである。
 死んでしまえば何も残らないのだから。
 それに比べてしまえば、大抵の不幸はたいしたことは無い。」

という物があります。

そんなことをアドバイスしていた本人が自殺をするなんて……切ない話です

今では、違った意味で読む価値がある本。
ご冥福をお祈りいたします。
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